小津ギャラリー 和紙職と日本画家による研究経過発表:日本文化の深みへ
【まちひと文化】 - 2011年01月10日 (月)
2011年1月10日、日本橋小津ギャラリー「絵本の絵画展」での、和紙づくり・販売と、日本画家の方との研究経過発表会の様子です。
研究テーマ「絵画用紙の諸相とその発揮について」(平成22年度受託研究)
研究受託:株式会社 小津商店、東京藝術大学日本画第二研究室。
今回使われた伊勢和紙:大豊和紙工業(株)の伊勢和紙



一、 開会


二、 研究生からの感想


三、 梅原幸雄氏から

四、 梳き手と画家との対話
五、 閉会・余談
東京藝術大学日本画第二研究室
梅原幸雄 今村雅弘 福山一光 川又聡 中川麻記 大竹綾奈 石原孟
(関 出)
大豊和紙工業株式会社 中北喜得 長谷川 長島
小津商店 一瀬正廣 西本幸宏
小津商店 入口(街とイベント案内)
所感>
話は、日本画家の方々の創作過程における伊勢和紙の使い勝手と、和紙の梳き手との応答でした。和紙の特性と日本画家との表現は、自然と人が、ぶつかり合いながら折り合っていく様でした。顔料を重ねてキャンバスを支配してゆく油絵の創作と、自然の素性と折り合い・共存してゆこうとする日本画の姿勢の違い。和紙の自然素材からの加工度・均質化は低く、日本画家は、周りと呼吸をつづけている和紙の、沁み込みを調整し、水を活かしながら顔料との出会いを演出してゆく。描き易さ・色出しし易さなどの素材の力が、創造性を発揮させるとは限らない。一人一人の技と気が、素性を越えてゆこうとすることもまた、創造を触発させる。自然と表現との出会いの場が和紙なのでしょう。
ここには、色番号も輝度も明度もない相対的な世界。一人一人、一つ一つがの素性が出会い・変化してゆく心模様であり、時に息づく’有り難き’ことの痕跡の射程。音の世界でいえば、平均率とメトロノームの洋楽ではなく、節と調子、間と呼吸の邦楽の世界なのでしょうか?いやいや、クラシックもロックンロールもジャズにも、緩急も揺らぎも出会いもある。即時・即物的な時代には、この’しなやか’な、関わりをじっくりと味わえる、時と場と心のゆとりが心地よい。癒しではなく、研ぎ澄まされた感性が、世界に開かれてゆく感覚が、すがすがしいのです。
昭和通りを越えてもここは日本橋本町。多くの町名に分かれる日本橋も、歩み巡れば様々なこの相対の変化の楽しみが残っています。一つ一つ、一人一人が孤立せず、連なってゆくことで、楽しみの深さと広がりが増すのですが。
日本和紙の梳き手と日本画の描き手の語らいから、創造の現場に触れ、また楽しみ方を深めることができました。
取材・記録 まちひとサイト 藤井俊公
研究テーマ「絵画用紙の諸相とその発揮について」(平成22年度受託研究)
研究受託:株式会社 小津商店、東京藝術大学日本画第二研究室。
今回使われた伊勢和紙:大豊和紙工業(株)の伊勢和紙



一、 開会


二、 研究生からの感想


三、 梅原幸雄氏から



四、 梳き手と画家との対話
五、 閉会・余談
東京藝術大学日本画第二研究室
梅原幸雄 今村雅弘 福山一光 川又聡 中川麻記 大竹綾奈 石原孟
(関 出)
大豊和紙工業株式会社 中北喜得 長谷川 長島
小津商店 一瀬正廣 西本幸宏
小津商店 入口(街とイベント案内)

話は、日本画家の方々の創作過程における伊勢和紙の使い勝手と、和紙の梳き手との応答でした。和紙の特性と日本画家との表現は、自然と人が、ぶつかり合いながら折り合っていく様でした。顔料を重ねてキャンバスを支配してゆく油絵の創作と、自然の素性と折り合い・共存してゆこうとする日本画の姿勢の違い。和紙の自然素材からの加工度・均質化は低く、日本画家は、周りと呼吸をつづけている和紙の、沁み込みを調整し、水を活かしながら顔料との出会いを演出してゆく。描き易さ・色出しし易さなどの素材の力が、創造性を発揮させるとは限らない。一人一人の技と気が、素性を越えてゆこうとすることもまた、創造を触発させる。自然と表現との出会いの場が和紙なのでしょう。
ここには、色番号も輝度も明度もない相対的な世界。一人一人、一つ一つがの素性が出会い・変化してゆく心模様であり、時に息づく’有り難き’ことの痕跡の射程。音の世界でいえば、平均率とメトロノームの洋楽ではなく、節と調子、間と呼吸の邦楽の世界なのでしょうか?いやいや、クラシックもロックンロールもジャズにも、緩急も揺らぎも出会いもある。即時・即物的な時代には、この’しなやか’な、関わりをじっくりと味わえる、時と場と心のゆとりが心地よい。癒しではなく、研ぎ澄まされた感性が、世界に開かれてゆく感覚が、すがすがしいのです。
昭和通りを越えてもここは日本橋本町。多くの町名に分かれる日本橋も、歩み巡れば様々なこの相対の変化の楽しみが残っています。一つ一つ、一人一人が孤立せず、連なってゆくことで、楽しみの深さと広がりが増すのですが。
日本和紙の梳き手と日本画の描き手の語らいから、創造の現場に触れ、また楽しみ方を深めることができました。
取材・記録 まちひとサイト 藤井俊公